第11章 目指す道
【 翔side 】
うちの家族の中に、普通に雅紀がいる景色...
修がはしゃいでて、母さんが笑ってて...
それを親父が目を細めて見ている。
こんな当たり前の時間が、もうずっと、
家にはなかった。
...俺が、家族を壊していたんだ。
自分が惨めで、顔さえ見ることをしなかった日々...もう、あんな地獄みたいな毎日はごめんだ...
出口の見えない真っ暗な迷路の中を、当てもなく彷徨っているような...絶望とか、破滅とか、そんな言葉さえ思い浮かばないくらいの虚無の毎日...
この闇は、終わることなんかないって、そう思ってた。
でも。
今がある...
あの日々が噓のように、穏やかで明るい毎日。
...明けない夜は、ないんだ...
終わりのない苦しみも、いつかは癒えるんだ...
あの時間が俺のことを強くした。
今を、大切に生きたいと、当たり前の大切さを、
知ることが出来たのも、あのことがあってこそ。
感謝することはないけど、気付かせてくれたのは、あの事件があったから...
今は、それがあっての自分だって、そう思ってる。
どんな苦しいことや辛いことも、
自分を成長させるための試練なのだと...
雅紀が助け出してくれた。
現実から逃げていた俺に、前を向かせてくれた。
この先、雅紀がいてくれたら...
辛いこととか、逃げ出したいことがあったとしても、俺はきっと、立ち直れると思う。
前を向いて、生きていけると思う。
家族の普通の夕飯の風景が、
そこに雅紀がいて笑っている幸せが...
ずっと続くって、そう信じている...
「兄ちゃん、早く食べないと、ましゃきが兄ちゃんの分も全部食べちゃうよ~!」
「こら修!お前だろ~///」