第11章 目指す道
それから俺たちは、将来のことについて時間が過ぎるのも忘れて語り合った。
うちの病院で俺が医師として、
その横には雅紀がいて、俺をしっかりサポートしてくれていて。
難しい手術の時は、雅紀が脇で器具出しを担当してくれる。
......夢の先を語れば尽きない。
きっと俺たちは、初めて形を成して目の前に現れ出た『夢の姿』に興奮していたのかもしれない。
夢は、大きいほどいい...いつかは現実に直面し、萎んでいく、形を変えざるを得ない、それが将来の夢なのだとしたら。
始めに描くビジョンは大きい方がいい...
でも俺たちはもう高校3年生。
将来の夢と言っても、それは子どもの頃と違い、
より現実に近いものとして、直ぐ近くにあるといってもいいだろう。
『医学の道へ進む』
押し付けられた未来じゃなく、自分で目指したいと思い決心した夢の姿。
俺はその夢に、胸を張りたい気持ちだった。
...で、もしかしたら...いや、きっと、
その夢の中には、雅紀がいてくれる。
俺の近くで、俺のことを見守ってくれる。
何て心強いんだろう...
俺たちは帰り道、まだ話したりなくて、いつもの公園に寄って、並んで座っていた。
「雅紀~...」
「んっ?な~に?翔」
「雅紀さ、看護師、向いてるよ...絶対」
雅紀の方を向いて、改まってそう言うと、
「そうかな~?」
雅紀は照れて、頭を掻いた。
「絶対に向いてる!!だって気が利くし、明るし、頑張り屋さんだし、真面目だし、あと..」
「あーっ///もういいってば!...顔から火が出そう///」
褒められて恥ずかしがる雅紀が、ホントに、可愛い。