第11章 目指す道
取りあえず落ち着こうと思って、
俺は、キャラメルフラペチーノを買って、
雅紀の席に戻った。
「さっきはごめんよ...ついさ...」
「いいって!それより、決心したんだね、いよいよ...
親父さんには話したの~?」
俺は夕べの書斎でのやり取りを雅紀に話した。
「でさ、雅紀に真っ先に報告したくて!」
「よかったね、翔。将来の目標が決まって...翔ならさ、どんなすごい職業だってなれるもんね~」
「そんなことないけどさ...
雅紀は?将来のこと考えてるの??」
俺がそう聞くと雅紀は悪戯っぽく笑って、
「実は俺、翔が医者になる、って言ったら、言おうと思ってたんだけど...」
雅紀は、俺が医者を目指すことは、分かっていたとでもいう顔をしてそう言った。
「俺はね、看護師になるよ!」
「えっ???看護師?」
あんまりびっくりして、言葉が出てこない俺に、雅紀はちょっとドヤ顔で、
「看護師になったら、ずっと翔の側で翔と一緒に居れるし。...あっ、もちろん真面目な話だよ!
看護師なら俺にもなれるかな~って、そう思って...
甘い気持なんかじゃないよ~。
俺さ、少し前にじいちゃんが入院したことがあって、その時の、看護師さんが男の人で、凄く親身になって看護してくれたからさ...俺実は、翔とこうなる前から、看護師になろうかって、そう思ってたんだよ...
大変な仕事なの、分かってるけどね...」
......ここが、スタバじゃなかったら、俺は雅紀を抱き締めてるとこだったよ。
突然目の前が開けたような?
明るくなったような...そんな感覚...
そして、そこに立つ俺の隣には、雅紀がいる。
ふたりで同じ方向を向いてるんだ。