第2章 変わっていくということ ~好きというきもち~
智くんの家に行くのは初めてだった。
智くんの家は大きな玄関に、
大きな絵が飾ってあった。
2階の智くんの部屋は、
図鑑とか、魚の本がたくさんあった。
智「翔くん、ジュース持ってくるから、
待っててね!」
「うん」
僕は、智くんがいない間、暇だから、
智くんの机にあった、スケッチブックを、
広げてみた。
そこには...これって...
僕...だよね...
智くんのスケッチブックには、何ページも、
僕の顔が、いっぱい描いていった。
...横向きの顔、走ってるところ、
笑ってるところ、
立って、教科書読んでるところ...
......なんで、こんなに、僕ばっか...
そこにコップとジュースを持った智くんが帰ってきて、
智「見ちゃダメ///」
そう言って、慌てて僕の手から
スケッチブックを取り上げた。
困った顔をして、
スケッチブックを胸に抱える智くん...
「あっ、ごめん...見ちゃった...
でも、それって、僕...の絵、だよね?」
智「......」
「いっぱい描いてくれて...」
智「......」
「でも...どうして、僕の絵??」
智「......」
智くんは、下を向いたまま、
何にも言ってくれなくなっちゃって、
話を変えようと思った僕は、
「今日さ、僕のお弁当の絵、
智くん、美味しそう、ってほめてくれたでしょ?
あれね、すご~い、嬉しかったんだ...
だって、ホントは下手くそなのに...」
すると、慌てたように智くんは、
智「そんなことないよ!
いっぱいいろんな色で描いてあって、
ホントに、美味しそうだったんだもん!」
って、むきになって言ってくれた。