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Green~君といた季節~【気象系BL】

第11章 目指す道



その間、時間にしたら、ほんの僅かだったのかもしれないが、俺にとっては、
とても、とても長く感じた。


救急車には、俺も一緒に乗っていくことになり、救急隊員が受け入れ先の病院に連絡をしている。

俺に代わって心臓マッサージを続ける隊員。

俺から、倒れたときの状況を聞き取る隊員。


その一連の流れはとても手慣れていて、
俺が言うのも何だけど、
素晴らしいと思った。


近くの救急病院への搬送が決まって、
おじいさんは救命センターに運び込まれた。


廊下の長椅子で、行き掛かり上とはいえ、
俺は見ず知らずの人のことを、

..おじいさんは、花田さんと言うらしいけど...

ただひたすらに祈っていた。

『どうか、助かりますように....』と。




暫くすると、花田さんの家族が、
図書館で一緒にいた孫を連れて駆け付けた。

娘だと名乗る子どもの母親に、
何度も何度も頭を下げられ、

それでは...と、帰ろうとしたそのとき、
ドクターが出てきた。


「ご家族の方ですか?もう心配要りませんよ。意識も戻りましたから、もうすぐ話もできます。

それから...君が救命措置をしてくれた高校生かな?」

「あ..はい...」

「君の処置が素晴らしかったから、
花田さんは命拾いをしたんだよ。
本当に立派だったね!」

と言われた。



帰り際、あの男の子が走り寄ってきて、

「お兄ちゃん、じいじを助けてくれて、
ありがとう」

と、ぺこりと頭を下げた。



......こんな俺でも、
誰かの役に立つことが出来たんだ...


いつまでも俺に手を振るその子を振り返りながら、俺は胸がじんわりと温っかくなった。


そこへ雅紀から着信が。

『翔!どう?大丈夫だったの?』

「もしもし、雅紀?...うん、助かったよ〜」

『ホントに?よかったぁ〜///』



『雅紀。

俺、医者になるわ!』

心の中で、大きく叫んでいた。
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