第11章 目指す道
【 翔side 】
この日俺と雅紀は、図書館に勉強しに来ていた。
もういよいよ、進路、そして、将来について、真剣に考えなきゃいけない時期に来ていた。
自分の勉強の合間に、雅紀の解らないとこなんかを、教えたりして、そろそろお昼に行こうかという時間、それは起こった。
下の階に降りていくと、
丁度俺たちの少し前を歩いていたおじいさんが、急に胸を押さえてうずくまった。
「えっ??なになに?」
焦る雅紀の横で、俺はこれは重篤な事態なのかも?と気づいていた。
「おじいさん、大丈夫ですか?胸、苦しいですか?」
「おじいちゃん!!おじいちゃん!!」
一緒に来ていた小さな男の子が、
祖父の異変に狼狽えておろおろしていた。
「雅紀、その子をお願い///」
「うん...分かった..」
苦しそうなそのおじいさんは、顔が真っ青で、身体中にじっとりと冷たい汗をかいていた。
心筋梗塞だ///そう思った俺は、
駆け寄った図書館の職員に向かって、
「すみませんが、AEDを!後、救急車を呼んでください!すぐに///」
「はっ、はい!!」
俺はおじいさんをその場に横にして、着ているものを緩めた。近くにいた男の人が手を貸してくれた。
他の人は周りで不安そうに見ていた。
実は俺は、父の病院で行われる一般向けの救命講習会に参加していた。もちろん、俺の立場の自覚を促したい父の勧めだ。
渋々受けたその講習が、実際に役に立つときが来るなんて///
講習通りの手順で、俺はそのおじいさんの症状を冷静に確認していった。
そこへ、AEDが届く。
俺は手際良くおじいさんの胸を開き、
AEDを装着し、ショックを与えた。
........後は救急車が来るまでの間、
手伝ってくれた男の人と交代で、
心臓マッサージをひたすら繰り返した。