第10章 大人の階段昇る
翔の手を引いて、俺の部屋に行こうとすると、
「水とか、飲まなくて平気?」
って聞いてきた。
俺の喉が、緊張で張りつきそうなの、ちゃんと分かってくれてたんだね...
「あっ...そうだね...待ってて」
俺は急いで冷蔵庫からペットボトルを1本持ってきた。
少しニッコリ笑った翔の手を、もう一度握って階段を上った。
翔とは何度も過ごした俺の部屋。
でもその時は、下に家族がいて...
いつ裕介や親が来るかもしれないから、
なんかするっていっても、限界があって。
でも今日は、翔と二人っきり。
誰にも邪魔されない...
翔の後ろでドアが閉まる音が響いた。
......手に汗が滲む...
俺は振り返って翔の顔を見た。
不安で仕方ない顔していたら、どうしよう...
って、そう思っていたのに、翔は......
勘違いじゃないよね?
なんだか、余裕の顔...?
俺ばっかりがテンパってるみたいな...
「...雅紀..」
翔は、俺の手を引いてそのままベッドに座らせた。
えーっ??いっ、いきなり~??
「水...」
「えっ?」
「雅紀、喉乾いてるんでしょ?水飲めば?」
そのために俺のこと座らせてくれたんだ...
なんか、俺だけすげ~やる気満々みたいで、恥ずかしいじゃんか///
「そだね...」
俺は、ペットボトルの蓋を開け冷たい水を、
喉に流し込んだ。
「...ふぅ~」
一息ついた俺に、
「俺も..飲みたいな..」
って翔が言うから、俺はあわててその水をそのまま翔に差し出した。
俺の飲んだペットボトルを、
翔が、飲んだ。
ゆっくりと上下する綺麗な喉仏から、
目を離せない....
水を飲み終えた翔が、俺を見た。