第9章 男同士
【 翔side 】
雅紀の腕に抱かれて、
俺は幸せを噛みしめていた。
俺のことずっと好きだって、
そう言ってくれた雅紀...
お互いに気持ちが高まって、
...身体でも、愛し合いたいな、って、
そう思うようになって...
雅紀と、そういうことになったら、俺、もっと吹っ切れるのかもしれない...そう思ったけど...
......やっぱり、ダメだった...
いざとなったか怖くなって、
それ以上進んだら、あの日のこと、思い出しそうで...
...尻込みした。
雅紀のことが好きで、雅紀のこともっと知りたいって、
もっと愛してほしいって...
そう思う...そう思ってるけど...
まだ、やっぱり心が着いて行かない。
いつか。
自然に、無理しないで、
雅紀とそうなれたらいいのに...って...
そう思った。
夕飯は、父親も帰ってきて賑やかに食べ、
雅紀は帰ることになった。
「また来てね~雅紀くん!」
「ましゃきぃ~、今度はいっぱい遊んであげるよ♪」
「修、約束な!」
家族に見送られて、俺も外まで送って出た。
「もう、ここでいいから...」
門を出たところで、雅紀がそう言った。
「うん...」
「じゃ、お休み、翔...」
「おやすみ。気を付けて...」
.....
「雅紀!!」
帰ろうと背中を向けた雅紀を、もう一度呼び止めて、
駆け寄った俺は、
そっと彼にキスをした。
「ちょ、しょう///」
焦って周りを見る雅紀が可愛い。
「大丈夫だよ...誰も見てないから...
...雅紀...今日は、嬉しかったし...えっと...
気持ち...よかった..」
そう伝えると、雅紀は真っ赤になった。