第9章 男同士
【 翔side 】
「32番...」
「えっ?だってこの間まで200番台だったのに...
凄いね!!そんな上がるか~?普通...」
「まあ、今まで如何になんもしてなかったかって、そう言うことでしょ...俺今度は、もっと上狙うよ...」
......雅紀、頑張っていたんだな...
そう思っただけで、何だか嬉しくなった。
俺が眠さと戦いながら数式解いてたときに、
雅紀も勉強してたんだ...
離れていても、そうやって繋がっていたって分かって、それだけで俺は、なんだか報われた気がした。
「翔は、お父さんの後継いで、やっぱ、お医者さんになるんでしょ?」
「まだ分かんないよ...雅紀は?」
「...分かんないな~...全然...」
俺は、思い切って思っていたことを雅紀に話した。
「もしさ、俺が医者になったら、雅紀、一緒に病院で働こうよ!」
「俺、医者なんて..」
「医者じゃなくても、病院で働いてる人はたくさんいるんだよ。受付の人もそうだし、リハビリする人、看護師やレントゲン技師...心のケアを専門にする人...
医学部じゃなくても、いろんな仕事があるんだ...
将来、雅紀と一緒に仕事出来たら...楽しいだろうなって、そう思ってさ...」
雅紀が目を白黒させている。
考えてもいなかったんだろうな~...
でも、雅紀は優しいから患者さんと接する仕事は向いてると思う。
責任感も強いし、努力家だし...
将来、医者になるとしたら、雅紀のような相棒がいてくれたら、どんなに心強いか...
「いいんだよ~...別に、何となく言ってみただけだから...雅紀がやりたい仕事をやれば、それが一番いいんだから...ごめんね~...なんか、俺、変なこと言っ..」