第9章 男同士
【 翔side 】
玄関で、いきなりキスされて、
俺のドキドキが雅紀に聞こえてるんじゃないかと、気が気じゃなかった...
でも、重なった雅紀の唇に全神経が集中してて、頭の芯が痺れたみたいになって、上手く考えられない。
...だってさ。
雅紀が、さっきから、俺の唇をゆっくりと優しく啄むように動かしながら顔も角度を変えるから...
もう膝が、震えてしまう...
....ヤバい...
この展開は...
......4時間ふたりきりなのに、
最初っからこの展開は、正直想定外で...
「...んんっ...」
//////あっ、俺今、変な声出ちゃった!!
どうしよう!!!
恥ずかしくって///もう無理だよ~(/ω\)
俺は顔を反らせて雅紀の唇を回避した。
「...翔...俺...」
...何その顔...?
俺、雅紀のその顔...見たことない...
「お..お茶入れるよ...はっ..入って」
俺は雅紀の手を解いてリビングに入っていった。
雅紀も黙って、俺の後に付いてきた。
...取りあえず落ち着かなきゃ!
俺は、母さんが用意してくれた紅茶のポットにケトルからお湯を入れた。
「適当に、その辺座ってて..」
「うん...」
雅紀がソファーに腰かけるのを確認して、
俺はほっと溜息を1つついて、カップに紅茶を注いだ。
部屋の中には、母親が出掛ける前にかけていたショパンのノクターンが静かに流れていた。
......俺は、自分の中に、
雅紀に対する今までと違った感情が湧き出てくるのを感じて、戸惑っていた。
...勉強で疲れてるからなのか?
...雅紀の顔が、まともに見れない///
ふぅ~...
俺は小さく深呼吸してから、紅茶とケーキの乗ったトレイを持ってノクターンの流れるリビングに入っていった。