第9章 男同士
【 翔side 】
俺は、松岡くんたちと距離を置いて、
普通に毎日学校通うようになった。
「強くなれ」って...
雅紀がそう言ってくれたから。
「もしも嫌な事言われたら、俺が飛んでってやるから」
鼻息も荒くそう言った雅紀の、
その存在が、どれほど俺に力をくれたか...
事件から時間が経っていたせいもあるのか、
俺のことを、そのことで揶揄ってくるような奴もいなかった。
あれ以来、勉強も殆どしてなかったから、
学年での順位も、下から数えた方が早いくらいに下がっていた。
俺は、心配していただろうけど、
何も言わずに見守っていた親にも、
申し訳なく思っていた。
だからという訳でもないが、
全くしていなかった勉強も、必死に頑張った。
遅れを取り戻そうと、塾にも毎日顔を出した。
当然、雅紀と会う時間が取れなくなってしまい、
雅紀にはその気持ちと、今の状況を正直に話した。
「頑張れよ!俺のことはいいからさ...
勉強に関しては、力になれないけど...
応援してるよ!」
雅紀にそう励ましてもらい、
俺はしゃにむに勉強した。
自分の中で、今回のテストで50番以内に入るという目標を立てた。
1年の初めは学年でトップだった俺も、
努力している奴らの中で、一気に100番以上順位を上げるには、それ相応の努力が必要だった。
そして、2学期制の学校の期末考査が終わり、
結果は32位だった。
「さすが、元の出来が違うよな~...」
斗真は、俺の躍進を褒めてくれたが、
3番の奴に言われてもなぁ~(-_-メ)
でも、これで一応俺の目標はクリアした。
「今日、会える?」
俺は急いで雅紀にLINEした。