第9章 男同士
【 雅紀side 】
大好きだった人と思いが通じた。
それは、例えようもないくらいに嬉しくて、幸せなことだった。
今まで、付き合ったことがないとは言わない。
告白されて、何となくいいかなぁ、って思ってデートしてみたりした。
....あっ、それはもちろん女の子...
でも、やっぱり好きになるまで行かなかった...
何度も会ううちに、
その娘と時間の共有をすることに、意義が見つけられなくて...まあ、平たく言えば、つまんない...
と言うか、相手が好きだって、そういう態度を見せる度、...俺はそう言う気にはなれないから...
と...
それって酷いよね...
分かってる...
内心、苦しい思いから逃げたかったんだ...
翔のことが好きで...でもそれは叶うことはないから、他にもっと好きな人がいれば、忘れられるんじゃないかって...
でも、やっぱり無理だった。
いつも俺の心の真ん中には翔がいて、
どんなに追い出した方がいいって思っても、
どんどん大きくなって...
もう、好きなんだって、翔のことだけが、大好きで他の人じゃダメなんだって、...認めなきゃならなくなって。
苦しかったけど、
心折れそうになったけど...
......でも、諦めなくて良かった...
ずっと好きでいてよかった...
大好きで大好きで、ホントに大好きだから、
側に居たいって思っていた人が、
今、当たり前に俺の側に居る...
手を伸ばせば、届くところにいる...
名前を呼べば、笑ってくれる......
毎日、幸せで嬉しくて...
もうそれだけで、俺は舞い上がっていた。