第9章 男同士
【 翔side 】
雅紀から気持ちを聞いて、
俺はすごく嬉しかった...
松岡くんたちと居るのは、
決して嫌じゃなかったんだけど、
『逃げてる、目を反らしてる』っていう、俺の中の負い目みたいなものが、自分自身をイラ着かせていたのも事実な訳で.....
雅紀の気持ちを聞いて、
やっぱり、俺のこと変えてくれるのは、
雅紀なんだって、素直にそう思った。
『付き合って』と言われた。
もちろん、それに対しては何の疑問もなかった。
だけど...
社会の中では、それは異質なことで。
違う性を求めることが正しくて、
同じじゃダメだと...
世論的には、そういうことなんだ。
それでも、そうじゃない人も、世の中にはたくさんいる訳で、それもまた、世の中に、浸透しつつあった。
所謂『同性愛』に偏見を持たない...
性別を越えた恋愛を認める...
という社会的風潮。
そのどちらも正解で、どちらも不正解。
要はね...理屈じゃないから。
人間愛、って言うのかな?
その人の本質に惹かれ、
その人の人間性に惚れる...
それがたとえ同性であっったとしても...
その感情は、尊ぶべき、『愛』の姿...
まあ、そんな御託を並べてみたけどさ、
結局のことろ、
俺は外では、雅紀と離れて歩く...
後少しだけ手を伸ばせば届く距離なのに、
...触れることは、出来ないんだ...
人前でこれ見よがしにベタベタしたい訳じゃないけど、当たり前に指を絡ませあって歩く、ごく普通のカップルを見ると、少しだけ、羨ましいって...
そう思うのは、本音だ。