第8章 イノセント
ちょうどその時、公園の入り口が見えた。
俺は、翔の肘を掴んで、
「ちょっと寄ってこうか..」
と、翔を誘った。
公園にある人工池の脇を入ると、
小さな東屋がある。
そこは、中心から離れているので、
人目に付きにくい。
ましてや、こんな時間は特に、だ...
「座る?」
「あ..うん...」
......あ──っ////
めっちゃ緊張する!
何でだろ?今まで散々好きだって、
気持ち伝えてきたのに...
こうやって、改まって伝えるのって、
俺初めてだ、きっと...
......
「あぁ..なんか夕日が沈むね~...綺麗だな...
...俺、こんな風に夕陽なんか見るの、
超久しぶりかも...」
ビルの上の無機質な空を、
ゆっくりとオレンジ色に変えていく夕暮れの太陽...翔じゃなくたって、こんな気持ちで夕陽を見るのは、俺も久しぶりだ...
そっと、隣に座る彼の顔を見ると、
瞳に、空のオレンジが映って、
言葉じゃ言えないくらいに、綺麗だった...
「翔...」
翔は黙って夕陽を見ている。
俺がこれから、彼に何を伝えようとしているのか、
きっと分かってるんだ...
「翔...こっち見て..」
その言葉に、ゆっくりと翔は俺を見た。
「初めて会った保育園の時...
いとこが持ってる人形みたいだって...翔のこと見て、そう思ったんだよ」
「何~?それ...」
笑う彼に、俺は畳みかける。
「その頃の俺に、言ってやりたい...
『雅紀、それは一目惚れって言うんだよ』...て..」
「...雅紀...」
「...その時からずっと、ずっと翔が好きだった..
その気持ちは、今も変わらない...」