第8章 イノセント
すると翔が、小声で、
「...付き合うとか...何にも
言われてないから...」
って.....
.........えっ??
....何?..なんて?
俺、ずっと好きだったって、そう言ったよな?15年も好きだったって、告白したよな?
それで、翔は笑ってくれたじゃん...
俺はもう、てっきりOKだって、
そう思ってたぞ!
....付き合うって、じゃあ、どうしたら..?
どう言ったら、いい訳?
狼狽える俺の様子を観察してたんだろうね...カズはクスクス笑ってる...
そんなのも分かんないくらいもう、
俺はパニック寸前...
そしたら、カズが笑いながら言った。
「ちゃんと言って欲しい、ってさ!
何やってんだよ、雅紀~..」
....ちゃんと...?
翔の顔を見ると、彼も俺のことを見てた。
...いっ、いっ...今~??
しばし無言で視線だけ絡め合う俺たちに、
カズが席を立ちながら、
「じゃ、俺、行くわ~..あいつ等とこれから、
カラオケ行くんだ♪」
と笑った。
「...おう..じゃ、またな...」
精一杯の笑顔でカズに手を上げた。
そっから、何となく気まずくて。
俺たちは無言で、フラぺチーノを飲んだ。
「...そろそろ、出よっか..」
「おう...」
俺たちはスタバを出て並んで歩いた。
....でも俺、知ってんだ。
この先に、割りと穴場の公園があること。
そこへ行こう....そして、
...決める!!
並々ならぬ決心をして歩く俺に、翔が、痺れをきらしたのか、
「雅紀...あのさ...」
と言ってきた。