第8章 イノセント
翔は俺の胸から離れて、俺の顔を見た。
その大きな目から、今にも涙が零れ落ちそうで...
俺は胸が締め付けられるほど、苦しくなった。
「そんな中で、俺を連れ出してくれたのが、
あいつ等だった...
あいつ等さ、見た目もあんなだし、やってることも無茶苦茶だけど、俺のこと...他のヤツと変わらない目で見てくれたんだ。
...守ってやるって...世間の好奇の目から、
俺のことを、守ってやるって...
あいつ等といるのは、単なる惰性で、
楽しいこともそれなりにはあったけど、
こんなことしてていい訳ない、って...
いつもどっかで思ってて。
...それでも、そこから抜け出すことは怖くて、
そんな自分自身が嫌で、毎日、イライラしてた...
そんな時、雅紀が...
雅紀が、殴られても蹴られても、俺のこと必死に守ろうとしてくれてるのが、すげ~嬉しくて...
もしかしたら俺、雅紀となら、変われるかもしれないって...そう思ったんだ...」
翔の目から、大粒の涙が零れ落ちた。
......愛しくて...
そんな翔が、堪らなく大切で...
俺はもう一度、彼を抱き締めた。
...さっきよりも強く、しっかりと...
「......翔...ありがとう...
俺さ、何があっても、どんなことをしても、
お前のこと守るから...
翔...好きだよ...もうずっと、ずっと...
えっとぉ~...15年も前から、ずっとだ!!」
「ふふふっ...すごい執念...」
笑ってくれた!!
俺の胸で、翔が笑ってくれた!!!
...もう俺は、天にも昇る気持ちだった///
15年も好きだった人が、腕の中にいるなんて///
夢なら、覚めないで///