第8章 イノセント
それは、夢にも思ってなかった翔の変身な訳で...
これってさ...
......そう言うことだよね~?
...期待してもいいのかな?
逸る気持ちを抑えて、俺は、
「その方が翔らしくてずっといい...
何か前より、イケメン過ぎて、ヤバいよ///」
「...はあ~?バカじゃない?」
パッと、翔の白い頬に赤みが差した。
「いやいや..マジで...」
...翔の大きな目が、ゆっくりと俺を捉え、
しばし無言で見つめ合う...
「...昨日...」
翔がゆっくりと話し出した。
「雅紀が言ってくれたこと...家に帰ってずっと考えてた。俺さ、ホントはすごく嬉しかった...
雅紀が、マンションまで来てくれた時は、
信じられなかった...なんで?...って...
雅紀、今までは何も言ってこなかったのに、
俺なんかのためにさ、
そんなにしてくれる意味が分かんなくて...
あの事件のこと...
裁判になって...検事さんや、囲いの中だったけど、大勢に人の前で、されたこと、何度も話して...
...そんとき俺、これは自分のことじゃない!
読んだ小説の話なんだ...そう思おうとして...
じゃなきゃ、心が壊れてしまいそうだった///」
「翔///」
俺は思わず、彼の華奢な身体を抱き締めた。
「もう、言わなくていいから...」
そう背中を撫でると、彼は首を振った。
「雅紀...聞いて欲しいんだ...
毎日、死にたいって...そればっかり考えて生きてた...なんで、俺がこんな目に合わなきゃいけないんだ...って。
...生きてても...死んでるのと一緒だった。」