第8章 イノセント
「で~?愛しの翔くんを取り戻した感想は~?」
潤はいつだって直球だ。
「...うん...」
「まさに身体張ったってやつでしょ?
流石だよ...雅紀...」
そう、一応褒めてくれるカズに、返事が出来なくて...
「俺たちのアイドル、取り返してくれたんだからね~...雅紀、ヒーローだよ!ほんと..」
「......」
言葉もなく俯く俺に、
「何だよ~?喜びの舞でも、踊ってくれるんじゃなかったのかよぉ~//」
俺は、翔とのやり取りを3人に話した。
俺が言ったことに、翔が何て応えたのかも...
「相応しくないって、そんなことある訳ないじゃん!!」
「事故みたんなもんでしょ?もう忘れろって!」
「翔は、その仲間といた方がいいのかな~?」
「そうじゃない///...と思う...でも、
俺たちが思ってるよりもずっと、翔の傷は深いんだ...」
「雅紀...」
智が、泣きそうな顔してる。
カズは黙って唇を噛んだ。
「じゃあ、それで引き下がんのかよ...」
「潤...」
「翔に、無理だって言われたら、ハイそうですか!って、さっさと諦めるのかよ??」
...怒りに震えたような潤の目が、
俺のことをじっと見つめてる...
「俺は~///お前だから...命かけて翔のこと救い出した雅紀だから!...だから、翔のこと諦めようと...」
「俺だって、雅紀に敵わないって...思ったよ」
「救えんの...雅紀だけだよ...」
「みんな...」
.........そうだった。
俺は、刺し違えて死んでもいいって、
それでも、翔を助けたいって、
そう思ってたじゃないか...
一回拒絶されたくらいで...
俺は、3人の顔を、ゆっくりと見た。