第8章 イノセント
「俺、帰るよ...」
「翔!!待って!」
「......明日も、来るから...」
俺とは目を合わせないまま、
翔は帰っていった。
どうしたら....
一体どうやったら、彼の気持ちに届くの?
......乗り越えて欲しい...
辛い過去から、
彼のことを解き放ってあげたい...
相応しくないなんて...
そんな悲しいこと、どうか言わないで///
その時、
ドアのノックの音の後に、
智と潤とカズが顔を出した。
「雅紀~..大丈夫?」
と、潤はなぜか少しニヤついてる
「ビックリしたよ!怪我したって聞いてさ...」
智は心配そうな顔をしてる。
「...すげー重症っぽいじゃん!」
カズは特別室に興味津々。
3人は代わる代わる騒ぎながら、
俺のベッドを囲んだ。
「ハイ、これ!お見舞い...3人からね」
「ありがとう..何?..本かぁ?」
智のくれた紙袋を受け取り、開けようとしてる俺を、
3人はニヤニヤしながら見てる。
...黒い紙袋の中からは、
ドぎつい
表紙の、エロ本....
「ばっ、ばかっ////」
俺が慌てて袋に戻すと、
「そ~いうの、いるでしょ?」
自分のことのように、嬉しそうな潤...
「全く、何考えてるんだよ!」
「消灯時間過ぎたら、暇でしょ?」
「やることないしなぁ~♪」
カズと智が頷きあっている。
....全く…こんなときは気が合うんだから///
だけど、さっき翔に突き放された形の俺にとっては、こんな他愛のないやり取りが、嬉しかった。