第8章 イノセント
翔の腕の中で、俺はぎゅっと目を閉じた。
大好きで、
もうずっとそうしたいって、
願っていた翔の腕に包まれて、
俺は幸せで...
すると、翔は、そのままの状態で、静かに言った。
「....ごめん..雅紀...でも、俺は、
雅紀の側にはいられない...」
俺は慌てて身体を離し、彼の顔を見た。
苦しそうに、悲しそうに....
泣いてないのに、
泣いてるみたいな翔の顔を。
「何で?俺のこと、嫌い?」
「そうじゃない!...そうじゃないけどさ...」
「じゃあ、何で?俺のやなとこ、直すから!
翔の嫌がることは絶対しないし、
翔が、こうして欲しいって言えば、
俺、なんだってやるから...」
翔は、唇をきゅっと結んで俺のことを見ていたけど、ふっと目を反らした。
「...相応しくない...」
「えっ?」
「...俺は..雅紀には..相応しくない...」
...吐き出すようにそう言った翔...
その肩が、微かに震えている。
今までずっと、そんなことを思って、
自分をそんな風に蔑んで生きてきたなんて...
あああぁ/////俺は、どうしてもっと早く、
翔のことを助けに行かなかったんだ!
もう一度抱き寄せようとすると、
それを察した翔は、俺からすっと離れて、
「....俺なんかと、一緒にはいない方がいいんだよ、雅紀は....」
「翔!!俺、怒るよ?...そんなこと俺..」
「雅紀は思ってなくても、
周りは思ってるよ。...そんな目で見るんだ..」
「だから!!俺が..」
「相葉さ~ん..検温の時間ですよ~」
間が悪く、看護師が入ってきた。