第8章 イノセント
「俺、暫く入院になんの?」
「取りあえず、1週間は....」
申し訳なさそうに翔は言った。
でも、俺のことをしっかりと見て、
「...雅紀、バカだよ...あのなとこまで着いて来てさ~...やられるに決まってるだろう?」
少し膨れた頬が可愛い。
「だって俺、もう待ってないって決めたんだ!絶対に翔のこと、取り戻すって...」
「だからって、あんな...無謀だよ...
こんな怪我してまで..」
「でも、翔は帰ってきてくれた。
そうでしょ?..もう、俺の側にいてよね?」
「雅紀...」
俺は畳み掛けるように、今までの気持ちを、
翔に伝えた。
「もうずっと。翔のこと心配で。会いに行きたかった。会って....大丈夫だから、って..
抱き締めてやりたかった...
でも、怖くて...翔に拒絶されたら、とか、余計なことしないで欲しい、って、
そう思ってるのかもな...とか。
いろいろ考えて、ぐるぐるしてて、結局、こんなに長いこと、時間かかっちゃって....」
俺の言葉を、翔は黙って聞いている。
「翔の事件のことも、俺、自分のことより苦しかった。....いや、ホントに翔の苦しみなんて、分かんないのかもしれないけど。
俺の命に代えても、事件のこと、忘れさせてやりたい...って...翔のこと、俺が守ってやりたいって、そう思って...」
言ってるうちに、涙が出て来て、
もう、なに言ってるのか、分かんなくなって。
「あ──っ!もう///上手く言えない!」
すると、翔は俺のことそっと抱いてくれた。
ふんわりと、風みたいに俺のことを包んでくれた。
そして一言、
「...ありがとう...雅紀....」
そう言った。