第7章 変わりゆく自分
俺は、雅紀を抱えて、外には出てみたが、
雅紀の身体が心配で、
こんな風になってから、
真面に口をきいたこともなかった母親に電話をした。
雅紀を助けてほしい...
ただただ、その一心だった。
母親は、俺が話をすると、
直ぐに車で来てくれ、
ボロボロの雅紀を見て、ビックリしたようだが、親父の病院まで行ってくれた。
救命の入り口に車を着けると、
連絡を受けていたドクターやナースが、
雅紀をストレッチゃーに乗せて、連れていった。
「雅紀!雅紀、しっかりしろよ...」
俺の呼び掛けに、雅紀は腫れた目を開けて、
にっこり笑った....
そして、
「...翔...助けてくれて..ありがと..」
と、そう言った。
俺は廊下の長椅子に腰掛けた。
雅紀のことが心配で、
なんで、あんなになる前に止めることが出来なかったんだろう////と...
自分が情けなくて、悔しくて、
後悔が後から後から押し寄せて、身体が震えた。
母親が連絡したんだろう。
程なくして、雅紀の親が来た。
謝らないと....俺...
やるべきことは、分かってるけど、
動き出せなくて....
心配そうな雅紀の親の顔を見るのが辛かった。
俺は取り返しのつかないことを、
雅紀にしてしまったんじゃないか...?
もし、雅紀に何かあったら...
俺は、どうしたらいいんだろう??
治療が終わって、雅紀が出てきた。
痣だらけの顔で、雅紀は静かに眠っていた。
出てきた親父が、雅紀の両親に深々と頭を下げた。
今回のことを、警察沙汰にしないと。
「雅紀が転んだって言い張ってる以上、
何も出来ないですから...」
そう言ってくれた二人に、俺の両親が、
何度も頭を下げていた。