第1章 はじめまして太陽さん
我ながら恥ずかしいことをしたと思う。
忍足の伝言も伝えなかったし…何やっとんねん、私。
今日は…千歳くん来てくれるかな…
借りたままのノートを眺めてた。
「〜!!」
『わっ!!日菜子!!』
「自分、さっきからため息ばっかついて…幸せ逃げてまうで?」
『う、うるさいわっ!』
「…って、あれ?なにそれ、千歳くんのノートやん。」
『え、あ、うん…』
「え、待って待って!!なんであんたがそんなもん持っとるの!?」
『ま、前に貸してくれたんや!!返そうにも!ち、千歳くん学校おらへんから…!!』
「へ~ぇ…」
『自分が思っとるようなことは、何もあらへんで…?』
「隠さなくたってえぇや~ん!!?」
『だーかーらっ!!!』
「あ!千歳くん!」
日向さんの声だ。
言い合いをしていた私たちはぴたっと静かになって、顔を見合わせた。
「日向さん、おはよう。」
(ち、ちょっと〜あのふたりいい感じの雰囲気になっとるやん…!!)
日菜子が小声で私にそう言った。
(わ、私はほんとに違う言うてるやん!!
ほら、日菜子!予鈴鳴るで!?)
私がそう言うと、日菜子は席に戻って行った。
『まったく…』
「さん、おはよう。」
一瞬ドキッとしたのは初めてあいさつされたからだと思う。
『え、お、おはよう…』
私がそう返すと、彼はニコッと笑って前を向いた。
(う、うちの名字知っとったんや……)
ふと視線を感じ、その先をたどると日菜子がニヤニヤしてこちらを見ていた。休み時間に日菜子のところへ行ってしばいたってことは言うまでもないと思う。