第1章 はじめまして太陽さん
~千歳side〜
今日も学校を休んだ。
一日中このテニスコートでボールを打っていた。
まだこの右目は治っていない。
その焦りが俺を追い詰める。
この目で四天宝寺のテニス部に行っても迷惑をかけるだけじゃないだろうか、そう思うと不安で部活にも行きたくなくなってくる。
「はぁ…」
フェンスの外にある時計を見た。
(時間が過ぎるのは早かね〜…)
そろそろ帰ろうとした時だ。
「?なんね、これ…」
外の長袖のジャージを置いていたベンチに、スポーツドリンクが置かれていた。
(誰が…?)
周りをキョロキョロしてみたが、人影はない。
「まるで妖精さんのごたる…」
ははっと思わず笑みがこぼれた。
まぁ蓋は開けてないみたいだし、安全だろう、そう確認して俺はそのペットボトルに口付けた。
「うまか…」
久しぶりに笑えた気がする。