第1章 _翔×にの
-和side-
最近、翔さんに軽い発作がよく起きる
翔「ッ、は、ぅあ、っは、ぁ、や、かず、か、ず、っ」
苦しそうに俺の名前を呼ぶ翔さんの手を握る
和「大丈夫ですよ、翔さん、俺はここにいます。今ナースコール押したから、大丈夫だから」
大丈夫、大丈夫と翔さんに言い聞かせる
翔さんに言い聞かせると同時に、
“大丈夫”
その言葉は、自分に一番言い聞かせていた
看護師さんが来て、処置をする
それを俺は部屋の外で待つ
“もう、永くないのかもしれない”
嫌でもそんなことを考えてしまう
和「ッ、ダメだ、不安になっちゃ」
ぱしん、と自分の頬を叩く
俺が、不安になってはいけない
少なくとも、今一番怖くて、不安なのは翔さんだ
俺が不安だと、翔さんだってもっと不安になってしまう
――――今は、俺が今できることをしないとダメなんだ
処置が終わり、疲れて眠る翔さんの涙まみれの目に、キスを落とした