ふらたーなる *Fraternal* 【気象系BL】
第2章 Dear ―Doctor Call Ⅱ ー
智兄は普段すごくふわっとして見えるけど医師としての考え方とか仕事に対する意識は高くてすごくしっかりして筋が通ってる。
そのギャップに驚く人が多いけど…俺たちからするとそれは至極当たり前で…。
温厚な兄は間違いなく長兄で常に俺たちを守ろうと神経を尖らせてる人なんだよね…。
小学生の時、修学旅行で見た日光東照宮の眠り猫を見て『智兄みたい…』って思ったんだ。
部屋に備え付けられた食器に描かれた猫の絵を見ながらそんなことを思い出した。
眠ってるはずなのに…今にも動き出しそうな猫。
穏やかなに見えるのに…違う空気に包まれてるようで…。
あの頃、智は……トラブルに巻き込まれて…入った高校を休学して家にいた。
散々傷ついた智…。
なのに家ではそれまでみたいにふわっと笑って俺たち心配をかけまいとしていた…。
それどころか…俺たちを守ろうとしてたんだ…。
「潤くん、何か手伝えることある?」
キッチンで野菜を切りながら昔のことを思い出してた俺の耳に智の声が届く。
ゆっくり休んでれば?って言ったのに風呂の用意を終えた智が狭いキッチンの入り口に立っていた。