ふらたーなる *Fraternal* 【気象系BL】
第2章 Dear ―Doctor Call Ⅱ ー
僕が走って駆けつけたのはこの病院の救急外来。
入り口の前で少し息を整えて中に入る。
「あのっ…」
たぶん受付担当の看護師さんに声をかけると僕の胸元のIDをちらりとみてにっこり笑った。
「五十嵐先生ですね?
井ノ原先生から連絡を頂いてます。
こちらです、どうぞ?」
そのまま看護師さんの後ろについて奥から二つ目のカーテンの中を覗くと…中に潤くんがいた。
「え?智先生?」
突然下の名前で呼ばれて驚いた僕は声の方に顔をむけた。
「あっ斗真くん」
潤の同級生の姿を見て全部繋がった。
そっかぁ…潤、スキーに来てたんだっけ…。
なんかそんなこと話してた気がする…。
「智先生、今、こっちに来てたんですね?
だからかぁ…」
「へ?なに?」
斗真くんの言った意味がわからなくて聞き返したけど『なんでもないです』って誤魔化された。
「潤、宿で喘息の発作起こして…。
シムビコートしかなかったみたいで…。
収まる気配がなかったので本人は嫌がったけど…すいません、受診させちゃいました」
若干申し訳なさそうな顔の斗真くん。
「いや、ありがとう。
ナイス判断だと思うよ。
潤がわがまま言って、迷惑かけてごめんね。
しかも旅行中に…」
「いや、それは気にしないでください。
じゃぁ、俺、戻りますね?」
そう言って斗真くんは席を立った。