ふらたーなる *Fraternal* 【気象系BL】
第2章 Dear ―Doctor Call Ⅱ ー
先週の日曜日から僕は単身、長野に来ている。
長野県内の総合病院の小児外科にいる学生時代の先輩に頼まれたからだ。
僕たちの病院と連携協定を結んでて、患者さんの疾患によっては互いの病院の医師が派遣されることになっている。
僕が以前、学会で発表した術式での手術が必要な患者さんがいて、患者さんの体力を考えると東京に移送するのは難しい状態だったから…僕が出向くことにした。
患者さんはまだ10歳にもならない男の子。
その姿に弟たちの小さい頃を重ねてしまった僕は全力で手術に当たった。
無事に終わった手術にホッとしたところに、僕を招聘した井ノ原先輩に頼まれて、何件か執刀させてもらった。
全ては後進の指導のため。
そうでなくても小児外科はなりても少ない。
僕は小児が専門な訳ではないけど東京の病院ではそれなりの数をこなしてるんだよね…。
小児は大人と同じような疾患でも手術となると圧倒的に難しくなる。
簡単に言うとサイズが違うから…。
もちろん大人には大人の難しさがあるけど…小児は全てにおいて繊細さが必要だし…。
医療事故とかで訴えられるリスクとかもあるから若い先生に嫌がられる。
みんな、リスクを嫌うから…。
そんな中で小児外科を目指したり、日々切磋琢磨している後輩のためなら頑張らないとね?
外科の世界は先輩からどれだけ技を盗めるか…っていう職人みたいな部分もある。
もちろん僕もそうやって先輩の後を追ってきたから…執刀することに否はなかった。
そんなわけで夜勤こそなかったけど結構忙しい毎日を過ごしていた。