ふらたーなる *Fraternal* 【気象系BL】
第2章 Dear ―Doctor Call Ⅱ ー
驚いた顔の看護師さんに気を良くした僕はそのまま自慢の弟たちのことを話す。
「僕のすぐ下の弟が翔くん。
同じ病院で内科医をしてて、その下が雅紀。
こっちは小児科。
その下が和也と潤くん。
和は僕と同じ外科で、潤くんは救急。
みんなねすごく優秀なの」
「5人兄弟っていうだけでも凄いと思いますが皆さんドクターなんて凄すぎです。
私、五十嵐先生の病院に転職しようかな?」
なんて笑いながら言うから慌てて止める。
「いやいや、小山さんみたいな優秀な看護師さんをうちに引き抜いたら僕が先輩に怒られちゃいますよ」
「誰に叱られるって?」
背後から聞こえた声に振り返るとそこには今回、僕を、この病院に呼んだ張本人がいた。
「あっ、井ノ原先生っ!
って先生もいかがですか?」
そう言う看護師さんに首を振った井ノ原先輩は僕を見た。
「さとくん、あのさ?
確か弟君たちの中に顔の濃ゆい子いたよね?」
「濃ゆいって…潤くんのことですか?」
「あっ、やっぱり…」
井ノ原先輩はため息を一つ付くと僕の耳元で囁いた。
「え?」
言われたことが理解できなくて動きが止まる。
「たぶん間違ってないから…行って確かめて来いよ…」
井ノ原先輩に背中を押されて、僕は弾かれたように走り出した。