ふらたーなる *Fraternal* 【気象系BL】
第1章 Doctor Call
「まぁ、いろいろあってぽかーんって時間が空いたの。
だからさ、みんなの顔でも見に行こうかなぁって思って…。
PHSだけ持って待ち合いに出たわけ」
声も出さずに頷く和の頭を撫でながらさらに続けた。
「そしたらさ、廊下をね、智くんが歩いてて…。
お茶でも誘おうっかなって思って近寄ったらさ、なんか顔色悪くて。
心配だったからうちの処置室に連れてったの」
「よく素直に付いてったね、智…」
「いや、そこは若干無理矢理?」
「なんでそこ疑問系なんですか?」
「いや…まぁ、その…」
それは明らかに方法が強引だったからに決まってんじゃん。
さて、どう誤魔化そうかねぇ…。
ここは正面突破…か?
「智くん明らかにフラフラしてるからさ…。
とにかく診てあげたくてちょっと耳打ちしたんだよねぇ」
「あんた、なに言ったの?」
「だから、かずぅ?
『あんた』って地味に傷つくから…」
智くんとのやり取りを和に聞かれたくないからわざとそんなこと言って話題をすり替える。
黙りこんで膨れっ面した和を尻目にあのときのやり取りを思い出す…。