ふらたーなる *Fraternal* 【気象系BL】
第1章 Doctor Call
「だってそうでも言わないと智くん素直に診察させてくれないでしょ?
ほら、もういいから飯にしようよ?
潤、今朝は何?」
ふたりとも可愛いのに同じぐらいの頑固だからなぁ。
それにこれ以上余計なことを智くんに言われても困るしね。
空気を読んだ雅紀と潤がバタバタと動き出す。
「ほら、智くんもテーブルについて?
和はいつまで拗ねてるの?」
「拗ねてないし…」
「そう?ならほら早く座ろう?
智くんに食べさせないと?」
最後の一言は智くんに聴こえないように耳元に囁く。
昨日の夕食を思い出したのか和の表情が変わった。
よし、とりあえず平気かな?
「翔兄、コーヒー運んで?」
潤のご指名を頂いてようやくキッチンに足を踏み入れる。
5個の色違いのマグカップの載ったトレイを渡された。
それぞれの席にそれぞれのカップを置く。
小さい頃、母さんがそれぞれの持ち物が分かるようにつけてくれた印の色。
なぜかそれがそのまま自分たちの色のように思えてついその色のものを揃えてしまう。
今日は食卓に5つ並ぶマグカップ。
それだけでなんだか嬉しくなる。
兄弟が揃ってる証拠。
俺にとっての幸せの証。
自分にとって何よりも大事な空間だって実感する。
「はい、おまたせ。
全部揃ったから食べよう?
智兄、号令かけて?」
エプロンを外しながら潤が智くんにそう声をかけた。