ふらたーなる *Fraternal* 【気象系BL】
第1章 Doctor Call
「あー疲れた」
夜勤明け、危うくまた捕まってそのままズルズルと勤務させられそうだったけどなんとか抜けてきた。
ロッカーで着替えながら思わず出た一言に余計に疲れる。
そんな時朝っぱらから明るい声が聞こえて…。
次の瞬間、背後から抱きしめられた。
「潤ちゃんおはよ。
今日はちゃんと時間通りに
解放されたんだ?」
振り向かなくてもきっと満面の笑みが浮かんでるはずだ。
そのまま頷くと「じゃぁ、ちゃっちゃと着替えて帰ろうね?」って背中から離れて行く雅兄。
なんか妙に寂しくて…。
でもそれを言える訳もなく黙って着替える。
「潤ちゃん?どうしたの?黙っちゃって。
勤務、キツかったの?」
雅兄が気遣うように声をかけてくれる。
「ううん、平気。
…早くうちに帰ろう?」
和兄から預かった翔兄の車のキーを片手に雅兄に声を掛ける。
「りょーかい!」
夜勤明けなのに元気な声の雅兄。
この明るい感じがお母さん方に人気だってうちのナースたちが話してるのを聞いたことがあるけど…。
わからなくはない。
私服の雅兄は男でもどきっとするほど色気がある。
「ほら、行くよ?潤ちゃん?」
俺の手からキーを取り上げるとそのままエスコートするように歩きだす。
普通だったら気持ち悪いとか恥ずかしいとか思うんだろうけど…すっげえ嬉しくて誇らしくもある。
この辺の感覚は世間一般とだいぶズレてるとは思うけど…そんなのどうでもよかった。