ふらたーなる *Fraternal* 【気象系BL】
第1章 Doctor Call
起きるまでにどこまで進められるかな?なんて思いながらキーボードを叩く。
ちゃんとカルテを整えておかないと医局長よりも怖い看護師長に何を言われるかわからない。
ナースを敵に回して生きていける程、病院と言う世界は甘くない。
それはたとえ俺たちがこの病院を継ぐ立場だって例外ではないんだよね…。
思わずため息をついた俺の耳に足音が聞こえてくる。
あれは…なんて暢気に思ってたらものすごい勢いで扉が開く。
扉から覗くのは子犬のような顔。
ほんと、可愛いよなぁ和は…。
智くんとは別の可愛さなんだよなぁ。
なんて思う俺に構うことなく和は噛みつくように言ってくる。
「ねぇ!あの人は?
智をどこにやったの?!」
「落ち着けよ、和。
そんな声出したら起きちゃうじゃん?
大体、兄貴の事、呼び捨てにすんなよ…」
「なにぼけた事言ってるんですか?
僕が智兄のことを智って呼ぶのなんなていつもの事でしょ?
それより!
智はどこかって聞いてるんですよ、僕は!」
「しー、そんな興奮するなよ。
智くんなら処置室で寝てるよ?」
「ふん。
翔兄だって智のこと智くんって呼んでるじゃないですか?
で、なんで智がここの処置室で寝てるのか、きっちり説明してもらいますよ?
まさか…ここで手、出したんじゃないでしょうね?!」
あぁ…我が弟の勘の良さにため息が出そうになるよ…。