ふらたーなる *Fraternal* 【気象系BL】
第1章 Doctor Call
昼下がりの外来診察室。
今日は午後診はない。
午前中、多くの患者さんでごった返していた待合室もようやく人がいなくなり、静粛が支配する。
「遅くまでありがとう。
俺、カルテ整理したらあがるから、もう帰って大丈夫だよ?」
担当ナースに声をかけるとそのままパソコンに向き直りキーボードに指を滑らせる。
「お先に失礼しまーす」という声が聞こえると共にナースの気配が消えて静かになった内科診察室。
俺の指が鳴らすカタカタという音だけが響く。
「そろそろ…かな?」
時計に視線を走らせて一つ伸びをする。
「智くん?」
起きてるかもと思って処置室の扉を開けながら小さく呼んでみたけど…。
かわいい寝息が聞こえてきただけだった。
瞼は落ちたままで、決して良いとは言えないけどそれでもさっきよりはよくなった顔色に少し安心した。
「無理しすぎだよ…智兄」
体に負担にならないようにゆっくりと落としていた点滴もまもなく終わる。
腕に繋いでいた針を抜き、処置をして眠ったままの大事な人を残して部屋を出た。
寝れるときに寝て欲しいから…。
起きたら…帰ろうね?