ふらたーなる *Fraternal* 【気象系BL】
第1章 Doctor Call
智兄の声に一瞬、体を硬くしたように見えた翔兄。
でも…別になにかがあった訳じゃないと思う…。
ただ切なくてつらいんだよね?
ここまで無理しないといけない状況が…。
じい様が作った病院。
父さんは医者ではなく凄腕の経営者だった。
でも…女にだらしない人で、父親としても夫としても最低の人間だった。
そんな父さんが大きくしたあの病院はいずれ、僕たちが完全に経営権を掌握することになるけど…。
今はまだ、一介の医師に過ぎなくて…。
いや、例え、僕たちが動かすことになっても智兄が現場を離れる訳ないし、ますます無茶をする気がする。
そうなったら…どうするんだろう?
翔さんの気持ちを、未来の展望を聞いてみたけど…少し怖い気もする。
うちの兄弟は仲が良い…。
でもその良さは普通じゃない…。
判ってるけど…この関係を壊す気はカケラもない。
僕たちは自分たちの兄と弟が好きで堪らない。
究極的には自分ら5人でいられればそれでいい。
それぞれ大事だけど翔兄と智の関係というか…。
翔兄の智兄対する執着は俺達に対するものとは違うのを知ってるから…。
智が無理してるのが嫌なんだよね?
多分、智兄は僕の学会がなくてもこんなこと平気でやるから…。
そのたびに翔兄が心配して…。
今回はどう、決着をつけるんだろう?
目を瞑った智の髪の毛を撫でながら翔兄の心中を思う。