ふらたーなる *Fraternal* 【気象系BL】
第1章 Doctor Call
車窓から見える景色。
いつもなら平気なのに、見てたら、くらくらしてきて目を瞑ってやりすごすことにした。
隣にいる和の声を聞きながら、髪を滑る指の気持ちよさに浸る。
目を瞑ってたらなんだか眠くなってきて、そのままゆらゆらと意識を漂わせてた。
和と翔が話す声が聞こえる。
大好きな二人の声。
平気だから…心配しなくていいよ?
そう思うんだけど、声にするのも億劫で…。
でもね、いいんだ。
だって僕が決めたことなんだから…。
そんな時に耳を打った低い声。
「………ったく、いつになったら人間らしい生活が出来るんだろうな?」
その低い声が悲しかった。
誰よりも熱心に仕事をしている翔。
その翔が絞り出すように言ったその言葉。
それ故に重く感じた。
「…しょーくん?
なにが…あったの?」
僕の声に翔くんが動揺したような声をあげる。
翔くん…。
僕じゃ力になれない?
バックミラーに映る翔くんの顔を見つめる。
ハンドルを握るその顔はいつも通りイケメンだけど…。
今はなにを聞いても無駄な気がしたから僕もそのまま黙って目を瞑った。
和が宥めるように僕の背中をポンポンと撫でてくれる。
なにも言わない和くん。
賢い子だからきっと空気を読んだんだろうな…。
そんなことを思う僕の意識は和の作る心地よいリズムにひきづられる様に落ちていった。