ふらたーなる *Fraternal* 【気象系BL】
第1章 Doctor Call
信号待ちの隙に後部座席を見ると和の肩に凭れて目を瞑る智兄。
家に戻るまでの僅かな間に寝てしまうほど疲れてるんだよね…。
それぞれ好きで入った医学の道だけど…。
大好きな兄貴の疲れた顔を見ると切なくなる。
しかも智くんは限界超えて頑張っちゃうタイプだから…。
和が智くんのふわふわの髪を優しく撫でている。
でもその顔は心配そうで…。
「和?智くんどお?」
なんか声でもかけないといけない気になって小声で話しかける。
そんな俺の気持ちがわかるのか、和がふわりと笑う。
その顔は、智くんに似ている。
ぱっと見、うちの兄弟はあんまり似てない。
でも…時折覗く表情が似てるんだよなぁ。
「少し体は熱いけど…眠れてるから…。
明日は休みだし、ゆっくりさせてあげましょ?
翔兄は?明日は?」
「休みだよ。
俺も明日はのんびりしようかな?」
「出掛けないなんて珍しいね、翔兄。
智なら僕が見てるから大丈夫だよ?」
「たまにはゆっくりしたいよ、俺も。
ったく、いつになったら人間らしい生活ができるんだろうな?」
つい口から出た一言…。
珍しくネガティブになってるわ、俺。
「……しょーくん?
なにか…あったの?」
え?寝てたんじゃないの?
「智くん?起きたの?」
「ねてないよぉ…目、つむってただけ…」
一瞬開いた目がまたぎゅって瞑られる。
「とにかく家に戻ろう?」
そのままハンドルをきって家に向かった。