ふらたーなる *Fraternal* 【気象系BL】
第4章 舞賀家物語 1
玄関をくぐるとピッタリのタイミングでドアが開いてイチくんが飛び出してきた。
「おかえり!じろちゃん!」
体当たりってぐらいの勢いで抱きついてきたイチくんを受け止める。
俺の腕の中にすっぽりと収まる体。
ずっとこうしていたいと考える自分とそれがダメなことが分かってる自分。
俺は…どうしたらいいんだろう…。
「あのね!今日はじろちゃんの大好きなオムライスだよ!
僕ね、ケチャップで絵も描いたの!」
満面の笑みって感じの顔で俺を見上げてくる。
ねぇ、邪な気持ちを持つ俺は…どうしたら純粋なイチくんを守れるんだろうね。
…傷つける前に…離れるのが…一番なんだよなぁ…。
「じろちゃん?どうしたの?どっか痛いの?」
俺を見上げたイチくんが俺の頬に手を伸ばす。
「ん?大丈夫だよ?
ほら、入ろう?着替えないと飯食えないし」
「いち、お兄ちゃん達にはおかえりのハグはないの?」
「あ、一郎!お前また裸足で出てきたな。
もう、夕飯の前に足を洗おうな」
イチくんの意識を自分たちに向けるように声をかけた兄貴達。
そこにもう1つ、声が重なる。