ふらたーなる *Fraternal* 【気象系BL】
第4章 舞賀家物語 1
多分、いや間違いなく、俺はこの時の四郎兄の言葉に秘められた真の意味を理解してなかった。
2人が俺の気持ちをどこまで見越して言ってたのか、少しも分かっていなかった。
でも…四郎兄も五郎兄もきっと分かってたんだ。
俺の想いも、イチくんの願いも…。
「じろ、早く乗って。
ごろくん、帰りましょう?
さぶといちが待ってます。
ほら」
手にしたスマホを五郎兄に突きつける四郎兄。
さっきまでの空気は霧散してて、そこにあるのはいつもの空気で…。
五郎兄は頷くとエンジンをかけ、車を動かした。
車が走り出すと四郎兄がかわいい指先をスマホの画面上で踊らせはじめる。
止まらないその動きに俺のスマホも通知音を鳴らし続ける。
慌ててマナーモードにしたけど、五郎兄のはそのままで…。
「おい、四郎!俺運転中!
LINEするならグループじゃない方にしろよ、気が散るじゃん」
「ふふ、ごろくんがこれぐらいで集中を欠く人じゃないのは知ってますから」
微笑を浮かべながら言う四郎兄に五郎兄が勝てるわけがなく…。
結局、家に着くまでLINEの通知音とバイブの振動は止まることなく続いた。