ふらたーなる *Fraternal* 【気象系BL】
第4章 舞賀家物語 1
赤いナプキンに包まれた俺の大きな弁当箱。
多分、一郎くんの倍はあると思う…。
「じろちゃん、今日もお弁当、持ってきてくれてありがとう」
お弁当の包みを開けながら一郎くんが笑う。
「どういたしまして。
よし、食べよう?
いただきます、するよ?」
2人で手を合わせていただきますをして食べ始める。
小さい頃から少食で食に興味のないイチくんに少しでも食べさせるために五郎兄が工夫してつくってくれる弁当。
俺の分も中学の時から作ってくれている。
小学生のイチくんは基本給食で中学には学食があるにも関わらずだ。
作るのも大変だろうから学食でいいって言ったけど、『どうせ自分たちの分もいるから』って当たり前のように作ってくれる。
怒るとめっちゃ怖いけど…親がいないことを感じさせないほどたくさんの愛情を注いでくれてると思う。
だから俺が出来ることはできるだけやりたいと思うわけ。
まぁ兄貴達からしたらほんの些細なことしか出来てないけどさ。
兄貴たちに恥をかかさない為にも成績は絶対に落とさないし、教師の立場では難しいイチくんを守ることも俺のやるべきことだと思ってる。