ふらたーなる *Fraternal* 【気象系BL】
第4章 舞賀家物語 1
「あ、あの、そこ、通して…ください…」
か細い可愛らしい声が耳をくすぐる。
疑惑が確信に変わった瞬間、スイッチが入った。
「ねぇ、そこでなにしてんの?」
ニコニコ笑いながらそいつらに近づく。
俺の声に振り返る奴ら。
「あっ、二郎先輩!」
「おお、上田に藤ヶ谷に千賀じゃん」
俺の声に絡まれてた子も嬉しそうに顔を上げる。
今にも飛びつきそうなその子に目で合図すると分かったというように小さく頷いた。
うん、お利口さんだね。
「いや、やけにちまいのが迷い込んできたんで」
「迷子ちゃんかとおもって?
ここは先輩として教えとかないとって思いましてね?」
「なんか、怯える小動物みたいですよね」
そりゃな、可愛いよ。
だってうちのイチくんだもん、可愛くないわけないじゃん?
揶揄うのが楽しくて仕方ないというような顔で報告してくる後輩たちにイラつくけどそれを敢えて、表に出すようなことはしない。
でもね…可愛い弟に絡んで怯えさせた罪は償ってもらなわないねえ?
「ふーん、確かに可愛いよね…」
ニッコリと笑いながらイチくんを見た。