ふらたーなる *Fraternal* 【気象系BL】
第3章 halftone ーDoctor Call Ⅲー
その日、時期外れの辞令が出た。
翔くんを困らせてた後輩医師が遠く離れた系列の病院に異動になるというものだった。
…僕が強く希望したから。
これ以上、翔くんを傷つけたくなかったから僕のエゴで人事を動かしてもらった…。
この病院はじい様が建てた病院でゆくゆくは僕たちが継ぐことになるけど、今は別の人が経営を行っている。
ずっと勝手なことをしていた父は数年前、病院よりも愛人との生活を選び、割増した退職金を持って海外に移住した。
その時点で継ぐ話も出てけど…僕たちは医者として現場にいたくて…。
そんな僕らの気持ちを知ってた年の離れた従兄が僕たちの誰かが経営に興味を持つまでのピンチヒッターと言って、救いの手を差し伸べてくれた。
今もその人が理事長として経営の指揮を取ってくれている。
病院長は医師でないとなれないけど、それも結局、じい様が医師として信頼し右腕にしていたじい様の後輩ドクターが引き受けてくれた。
普段は一医師として勤務してるつもりだからそんなことはしないんだけど…、今回はどうしても許せなくて…。
あの日、僕は外来の合間に2人に会い事情を説明して助力をお願いしたんだ。