ふらたーなる *Fraternal* 【気象系BL】
第1章 Doctor Call
潤くんのいる、救命救急センターの入口まで僕にしては珍しくダッシュした。
外来の終わったこの時間は患者さんが居ないから走ったところで咎める人間は居ない。
まぁ、製薬会社のMRさんとかはいるけど、あの人たちも慣れたもんだ。
医者が走ってても優雅に会釈してスルーしてくれる。
センターの入口に見慣れた姿があった。
「じゅんく…ん、おま…た…せ」
外科医にしては体力のない僕はもう息も絶え絶え。
そんな僕に潤くんは笑いかける。
「急がせてごめんね?
あのあと、脳外に繋がって、岡田先生が来てくれたから大丈夫」
僕の背中を撫でて呼吸を整える手伝いをしながら潤くんが教えてくれた。
「ほん…と?…よかっ、た…」
引き受けたものの不安だらけだったし…。
「うん、だから大丈夫だけど…。
なんで和兄が智兄の電話に出たの?
智兄なんかあったの?
外科の医局に掛けたら内科にいるはずだって言われたし…」
潤くんが心配そうな顔で僕を見る。
「うん…智、無理しすぎて…フラフラだったみたいで…。
でも翔さんが酷くなる前に処置したから心配しなくていいよ。
今日はこのまま連れて帰るしね」
「また、無理したの?
ほんと、あの人は…。
和兄?どうしたの?
泣きそうな顔してるよ?」
潤くんの手がそっと僕の頬に触れた。