ふらたーなる *Fraternal* 【気象系BL】
第3章 halftone ーDoctor Call Ⅲー
「翔くん…いる?」
電気のついたままの部屋に声を掛ける。
そんなに広くはない部屋に僕の声が響く。
「いないの?」
やっぱり返事はなくて…。
仕方なく部屋の電気を消して、ドアについていた赤いチャームを手にした。
「どこにいるんだろう?」
家を出た様子はないし…。
念のために通称、趣味部屋のドアを開けるけどやっぱりいない。
となると…。
そっとメインベッドルームのドアを開けるとベランダに人影が見えた。
部屋のドアに赤と青のチャームを付けてそっと部屋に入る。
窓越しに見えた翔くんの背中がいつもよりもずっと小さく見えた。
そっと窓を開けてベランダに出る。
気配に気づいたのか翔くんが振り向く。
指に挟んだタバコから紫色の煙がたなびく。
「珍しいね、タバコなんて。
病院で何かあったの?」
「ううん……大丈夫。
何も……ないよ……」
僕の顔を見ないでそう言う翔くんの背中が小さく震えてる。
翔くんの腕が動いて短くなったタバコをもみ消した。
「そっかぁ…」
それだけ言ってなんでもないという翔くん背中を後ろから抱きしめる。