ふらたーなる *Fraternal* 【気象系BL】
第3章 halftone ーDoctor Call Ⅲー
「何もないならそれでいいし、話したくないならそれでもいい。
でもね、僕は翔くんのお兄ちゃんだから…。
甘えていいんだよ?」
伝わるといいなぁって思いながら、回した腕に力を込めた。
しばらくの間、ベランダに立ち尽くしてた僕たち。
身じろぎした翔くんに中に入ろうって声をかけると素直にうなづいてくれた。
部屋に入ってベッドに座る翔くんの隣に僕も座る。
何を話す訳でもない時間が過ぎていく。
でもそれも少しも苦痛でない。
言葉がなくても気持ちが伝わるぐらい、僕たち兄弟は繋がってるから…。
「あのさ…」
ポツリと翔くんが言葉を落とす。
翔くんがゆっくりと話し始めた。
それは多分どこにでもあることで、それは多分小さなボタンのかけ違えなんだろうけど…翔くんの心を傷つけるには充分すぎる出来事だった。
僕は慰めの言葉を見つけることが出来なくて…抱きしめてキスをした。
「え?智兄?」
「いいから…黙って?」
そこにいるのはいつもの自信に溢れる翔くんじゃなくて僕の小さな弟の翔くんだった。