第3章 halftone ーDoctor Call Ⅲー

家に帰ってきて買ってきたものを整理したあとは夕飯の準備。

基本的にはみんなが帰ってきてからって思ってるから…材料を切ってお肉をお皿に並べて割り下を作って…。

すき焼きはみんなが揃った時じゃないとね？

そんなことを思ってると…。

「ただいま」っていう声が聞こえてきた。


「おかえり…あれ？一緒に帰ってきたの？」


振り向くと夜勤明けの翔くんがまーちゃんと一緒にいた。


「そうなの、俺さ、珍しくほぼ定時で終わってロッカーに行ったらさ、翔ちゃんもいたから一緒に帰ってきたの」


「智くんのお陰で午後診は絶好調だったから、なんとか定時ちょい過ぎで上がれたわけ」


「潤ちゃんは今、診てる患者さんの処置が終わったら帰ってこれるみたいだよ」


「じゃ、みんな揃うね。
　ふたりとも手を洗って、着替えておいでよ」


「はーい」


お、二人揃っていい返事。

こういうところは素直で可愛いよなぁ。
うちの弟達って。


「あ、和くんは？ロッカーで会わなかった？」


今日は病棟だし、今、そんなに危ない患者さんはいないはずだからもう帰ってきてもいいはずなんだけど…。

そう思って二人に聞くとまーちゃんがニッコリと笑った。