ふらたーなる *Fraternal* 【気象系BL】
第1章 Doctor Call
通話を続ける和の声を聞きながら智くんのことを考える。
「………ああ、そうなんですね?
わかりました、ありがとうございます。
あっ、ノリコ先生、このまま兄さんを帰しちゃっていいですよね?
………はい、わかりました。
では、お疲れ様でした」
通話を終えた和の顔はかなり険しいものだった。
「和?どうしたの?
めっちや怖い顔してるよ?」
「あの人は…。
なんであんな無茶ばっかり…!」
唇を噛みしめる和。
その唇にそっと指を滑らせる。
「そんなに噛みしめたら切れちゃうよ?
どうしたの?
お兄ちゃんにちゃんとおしえて?」
「あの人、自分が担当した手術の後知念の手術がトラブったからってオーベンの責任だってサポート入って…。
さらに救急からの患者…引き受けたって…」
泣きそうな顔で俺を見ながら更に続ける。
「救急からの患者さん、ほんとは僕に振ろうとしたのに『学会前だから』ってそのまま手術に入って。
ご家族に説明までして…。
いくらあの人が腕が良くたって3つも連続でなんて…」
あぁなるほどね。
だからあんなにテンション高かったんだ。
ランナーズハイとおんなじ状態だ…。
「学会の準備なんてどうにでもなるのに…」
心配なんだろうけど…それは駄目だよ?
智兄が聞いたらキレるぞ、それ。
泣きそうな和の両頬を手で挟んでこっちを向かせた。