第7章 寵愛(ティキ)
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「ティッキー」
声が聞こえる
なんだそのロードみたいな呼び方。
オレを知りたくないと言ったくせに。
「ティッキーってばぁ」
そんな甘えた話し方したこともなかっただろ?
舐められてるのか?
やっぱりあのときぐしゃぐしゃになるくらいキスでもなんでもすればよかった。
「おーきてっ!」
べチン!!!
「いって!!!」
思い切り両頬を叩かれて跳ね起きる。
「おはよぉ♡よく寝れたぁ?」とロードが頭を撫でてきた。
「お陰様で」
…そうだった。
1週間前、千年公に言い渡された仕事を終えて、そのままこのホテルに泊まってたんだった。
ふぁとあくびをしながら頭をかく。
「もうちょい寝ててもよくね?」
「えーつまんないー!久々にあったんだから遊ぼーよ」
ねー!っとロードが首に抱きついてくる。
自由気ままな我らが長子はオレが断るわけないだろうと言わんばかりだ。千年公が甘やかすせいだぞ…
「遊ぶってったってもう俺お仕事終わったし」
「だからでしょぉ?最近ティッキー構ってくれないし。1人で楽しんじゃってさぁー」
「はい?」
ロードがガサガサと大きな飴の袋を外す。
「オモチャの一人占めなんてズルくない?」
サァッと顔から血の気が引いた。
「でも流石にアレはあんまり良くないよ。せめてイノセンスは壊さなきゃ。」
バッと布団から飛び出す。
ロードは追いかける気もないようで後ろからその声だけが届いた。
「レベル3を3体送ったよ。間に合ったらティッキーの勝ち」