第7章 寵愛(ティキ)
どれだけ外を眺めていただろうか。
壁に背中をつくと、足の力がなくなってズルズルと座り込む。
…疲れた……スッゲェバクバクしてんなぁ〜…
自分の耳まで届く心臓の鼓動とは別に胸の奥が絞られるように痛い
…動いてた…
もしかして腕以外もとっくに治ってたのか?
それとも離れていたこの数日で治ったんだろうか
明るい窓に足をかけ、こちらへ振り返る沙優を見たとき、1番に頭に「綺麗だ」と浮かんだ。
普通に動く彼女を見て嬉しかった。
腕におさめたかった。
キスをしながら殺せたら最高だ。
最後の一瞬まで、彼女の全てをオレで満たしたい。
「ティッキー」
甘い声が、彼女が出て行った窓から降ってくる
「どぉだった?」
ニコリと笑うロードはアクマが倒されていることはどうでもいいようだ。そもそも、彼女の生死も。
「顔は見れた。オレの勝ちだね。」
「えー残念」
じゃあこれあげる♡と持っていた飴を押しつけられる。ロードに対して怒りが湧かないあたりオレもオレでロードに甘いらしい。
飴を受け取ると一口舐める。今日はタバコじゃなくてこれで良い。
「勝ちついでにあの子は俺のね。」
「ん」
笑ってそういえばロードも満足そうに笑みを返した。
彼女はエクソシスト、俺はノア
いずれまた、必ず、どこかで
>寵愛.fin