第7章 寵愛(ティキ)
AKUMAを置いて行く。
その一言に、これで動けるようになるかもしれないと胸が高鳴った。
でも
「レベル1じゃ無理か…」
部屋の隅に佇むメイドの姿をしたAKUMAをちらりと見る。
ティキが居なくなった部屋に2人きり。
触れることさえできれば、レベル1くらいなら一瞬で倒すことができるだろう。
しかしレベル1程度では全回はきっとできない。
体動かない演技はできてもティキが帰ってきたとき、置いて言ったAKUMAがいなければ不審に思われるだろう。
いくら優しくしてくれてるとはいえ、相手はノアだ。今こうして私を甘やかしているのもただの気まぐれだろう。少しでも反抗的な態度を見せれば殺されるかもしれない。
せめてレベル3が2・3体いればすぐにでも逃げられるだろうに…
…帰りたい…
考えろ、考えろ。
時間は多少仕方ない。
自分は数少ないエクソシスト。
まずは下手な事をして殺されないように。
ここがどこかもわからない。私から見えるこの部屋だけが今の私の世界なのかと思うと怖くなった。